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アクセサリー作家chigu&白チワワのナナのアトリエ日記

アクセサリー作家chiguのブログです。
アトリエで起こるゆったりエピソードを、chiguとちっちゃなチワワたちがお届けします。
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楽しいが一番のわけ

こんにちは〜、今日はオートクチュール刺繍のレッスンで上京していたchiguです。

楽しかったな!

 

さて、先日の話題の続き(→2018.09.26 Wednesday『そして織り上がり』の記事へ

 

制作において、自分が楽しいのがまず大事なのはなぜか?について。

 

そもそも、どうして手間ひまかけてわざわざ手で何かを作るんでしょう。

これまで関わってきた、金属、刺繍、そして織物に糸紡ぎ…。

どれも機械できれいにしかもローコストでたくさん出来るものばかりです。

だって人間はそのために技術を発達させてきたわけだもんね。

でも、わざわざ時間をかけ、コストをかけ、人が手で作る。

自分だけがただ楽しむだけなら、楽しいってだけで充分。

でも、それに手仕事としての値段をつけて誰かの手にとって頂くとしたら

そこにはやっぱり理由が欲しい。

ただ手間さえかければ価値が上がるってもんじゃない、

手間をかけたからこそ何が出来たのか、それを説明したい。

 

刺繍の先生の仕事を見ていると、機械じゃ同じことなんて出来っこないことは明白。

この技術は美しい舞台のために、映像のために、誰かの特別な時のために、必要であることはすぐ分かる。

 

織物を始めたときは、どうして糸紡ぎをするのか理解できませんでした。

売っている大量生産の糸は色もきれいで揃っているから出来上がるものもきれい。

それで良いんじゃないかな、と。

でも、自分が糸紡ぎを始めて、何を目指したら良いのだろうとふと思ったとき

ちょうど先生が教えてくれました。私から質問したわけでもなかったのだけれど。

「とても丁寧に羊毛を梳いて、均一の美しい糸を紡ぐ作家さんがいる。均一な糸だったら機械のものでも良いのではないかと思うけれど、その糸で織ったショールの軽さと柔らかさとあたたかさは格別」と。

そうか、実用のなかでそんなに素晴らしい価値が産まれるのか、とすごくワクワクしました。

実際、『羊の本』のなかでは、ホームスパンの衣類の軽さとあたたかさを実験の上できちんと説明しています。

 

さて、では、手仕事をするからには、手仕事ならではの価値が必ず生まれなくてはならないのか?

 

ここで、「楽しい」が最優先、という話になってきます。

 

これまで自分の手でものを作って販売させて頂いてきたなかで、

一生懸命取り組んだ時間がすべて結果に結びつくわけではない、という経験は何度もありました。

今も、たくさん糸を紡いでいるけれど、それが思うような糸になり、思ったような織物になるかは分からない。

教室で情熱的に取り組んだオートクチュール刺繍がこの先何か価値のあるものに繋がっていくのか、それも分からない。

 

結果的にうまくいかなかったとき、

それでもそこにひとつ、大きな価値を見出すものがあるとしたら

それは「楽しい時間を過ごすことが出来た」ってことじゃないかな。

誰かに言われたり、作家なんだからこうした方が良いんじゃないかとか、売らなきゃならないから…なんて考えて

どうも楽しくない制作時間を過ごした結果と同じだったとしたら

楽しい時間だった、だからそれはそれで良いじゃないかと自分なりの価値をつけてあげられれば。

 

考えてみれば買い物だってなんだって、同じことかもね。

気に入っていたものが時間を経てそうでもなくなってしまった時、

「どうしてこんなもの買っちゃったのかな」って思うかも知れない。

でも、「買ったときは本当に楽しかった、私はこれを選んだんだ」って思うことができれば

それだけですごく大きな価値よね。

日常にそういうことってたくさんあるんじゃないかな。

 

デイヴィット・シュリグリーの「少なくとも一人はハッピーだろ」の言葉も

ちょっとしたことで評価が大きく上がったり下がったりする流動的で時に理不尽なアートの世界に身を置くには

外から左右されない支えってものが大事だってことを言っているように、私には思えました。

 

手仕事の価値、それ以前の、自分を支える価値。

その両方があってバランスをとりながら喜びのあるものが作れたら幸せ。

 

で、不思議なことに、自分が楽しく作れたものって、結局お客様からも喜ばれたりするんですよね。

なにか宿るものがあるもかも知れない。

 

 

最近紡いだメリノの白い糸。

どんな織物になるかまだ分からない。

でも、このときに感じた情熱は、結果とはまた別のところで必ず支えになってくれるのだ。

 

| chigu | 制作にまつわるお話し | 22:34 | | comments(0) |
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